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脊柱管狭窄症

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疾患概要

脊柱管狭窄症
医学教科書から引用 The Netter Collection 2, 1984

脊柱管狭窄症とは、手足を動かす神経の通路である脊柱管が、骨の変形、椎間板・靱帯の突出などにより、狭くなる病気です。この結果、神経が圧迫されて体調が悪くなります。首と腰に多く、首にできたものを「頚部脊柱管狭窄症」、腰にできたものを「腰部脊柱管狭窄症」と呼びます(表1)。稀に、背中(首から下で腰よりも上の背中の部分)にできることもあります。
原因は、背骨の老化です。生きて活動している間、背骨はつねに重力の影響をうけているため、加齢とともに傷んできます。背骨の老化は誰にでもおこる現象ですが、このうち変形の程度が強い場合に病気になります。また、生まれつきの原因で病気になる場合もあります。頚胸部に多い「後縦靱帯骨化症」や胸腰部に多い「黄色靱帯骨化症」、頚部に起こる「平山病」なども治療しています。
脊柱管狭窄症の頻度は高く、手術治療が必要な患者さんは、1000人に1人くらいの割合で、日本全国で年間10万件以上の手術が行われています。当院では、脳神経外科が脊柱管狭窄症の治療を行っています。この分野は、整形外科でも行われており、双方に得意・不得意分野があります。脳神経外科では手術顕微鏡を用いた細かい手術を得意としています。

表1 脊柱管狭窄症
部位診断名
頚部脊柱管狭窄症
背中 胸部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症

症状

脊柱管狭窄症によって、神経が圧迫されると、手足の筋力低下、しびれなどがおこります(表2)。頚部の脊柱管狭窄症では、主に両手のぎこちなさ、しびれが出ることが多いです。腰部の脊柱管狭窄症では、主に両足の筋力低下、しびれが出ることが多いです。トイレの回数が増えたり、出にくくなったりする症状がでることもあります。日中に活動している時に、背骨が動くために、これらの症状が出やすいです。寝ている時、安静にしている時には症状が出にくいです。年の単位で徐々に悪化進行してきます。転倒により急に悪化することがあります。

表2 脊柱管狭窄症の症状
部位手の症状足の症状トイレの症状
◎ぎこちなさ、しびれ ○ふらつく、転ぶ △まれ
背中 ◎ふらつく、転ぶ ○小便が出にくい
◎長い距離が歩けない △まれ

治療法・対処法

全身麻酔を用いて痛みのない状態で、手術を行います。手術は9割後方から行います。前方から行うこともあります。頚部の脊柱管狭窄症には、主に後方から椎弓形成術を行っています。うつぶせで正中の皮膚を切り、筋肉をこわさない様にしてはがしてよけます。手術用のドリルを用いて、椎弓を観音開きにして神経の圧迫を取り除きます。骨を固定するために人工骨スペーサーを入れます。
胸椎部・腰部の脊柱管狭窄症には、主に後方から部分椎弓切除術を行っています。背骨の一部を手術用ドリルで削り取り窓を開けて、神経の圧迫を取り除きます。
背骨の関節が不安定な時には、スクリューなどの体内ギブスを用いて背骨を固定することもあります。
手術を安全に行うために、全例、手術用の顕微鏡を用いて手術を行っています。最新の手術室CTを使用することもあります。
8-9割の患者さんは手術後2週間くらいで体調が回復します。ごくまれに、術後に症状が悪化することもあります。手術前の神経の圧迫の程度や部位によっても回復に個人差があります。術後の回復程度により、早期退院かリハビリを行っています。

椎弓形成術
日本脊髄外科学会ホームページより引用

患者さんへのワンポイントアドバイス

この病気により両足の筋力低下がおこると転びやすくなります。転んで頭を強く打ったり、尻もちをついたりすると、大怪我をして、神経が強く圧迫され病気が悪化することがあります。特に、自宅内では夜間にトイレに行くときには注意することが必要です。大雨や雪など天気が悪いときの外出は特に注意が必要です。

当科の専門医

谷口真(日本脊髄外科学会指導医39)、髙井敬介(日本脊髄外科学会指導医95)

疾患概要・病態

脊柱管狭窄症とは、中枢神経である脊髄が通る脊柱管が、骨の変形、椎間板・靱帯の突出などにより、狭くなる疾患です。この結果、脊髄が圧迫されて神経症状がでます。頚部と腰部に多く、それぞれ、「頚部脊柱管狭窄症」「腰部脊柱管狭窄症」と呼びます(表1)。稀に、胸椎部できる胸部脊柱管狭窄症もあります(文献1)。
原因は、脊椎の老化です。生きて活動している間、脊椎はつねに重力の影響をうけているため、加齢とともに変性していきます。脊椎の老化は誰にでもおこる現象ですが、このうち変形の程度が強い場合に病気になります。また、若年に多い先天原因の疾病もあります。「黄色靱帯骨化症」(文献1)や、頚部に発症する「平山病(若年性一側上肢筋萎縮症)」なども治療しています(文献2)。
脊柱管狭窄症の頻度は高く、手術治療が必要な患者さんは、1000人に1人くらいの割合で、日本全国で年間10万件以上の手術が行われています。当院では、脳神経外科が脊柱管狭窄症の治療を行っています。この分野は、整形外科でも行われており、双方に得意・不得意分野があります。脳神経外科では手術顕微鏡を用いた細かい手術を得意としています。

表1 脊柱管狭窄症
部位診断名
頚部 頚部脊柱管狭窄症
胸部 胸部脊柱管狭窄症
腰部 腰部脊柱管狭窄症

症状

脊柱管狭窄症によって、脊椎や馬尾神経が圧迫されると、対応した神経症状が出現します(表2)。頚部では、脊髄の圧迫により、主に両手のぎこちなさ、しびれなどの髄節症状が出ることが多く、頚部脊髄症と呼びます。胸部では、脊髄の圧迫により両下肢の痙性麻痺や膀胱直腸障害の症状が出ることが多いです。腰部では、馬尾神経の圧迫により、主に歩行時の両足の筋力低下、しびれが出ることが多く、間欠性跛行と呼びます。日中に活動している時に、脊椎が動くために、これらの神経症状が出やすいです。寝ている時、安静にしている時には症状が出にくいです。年の単位で徐々に悪化進行してきます。

表2 脊柱管狭窄症の症状
部位上肢症状下肢症状膀胱直腸障害
頚部 ◎髄節症状 ○痙性対麻痺 △まれ
胸部 ◎痙性対麻痺
腰部 ◎ 間欠性跛行 △まれ

治療・最近の動向

脊柱管狭窄症に対しては、頚部では椎弓形成術、胸部と腰部では椎弓切除術によって脊髄を除圧します。平山病に対しては、脊椎固定なしの硬膜形成術を行っています。脊椎不安定性を認める場合には、スクリュー固定を行うこともあります。スクリュー固定はOアームと術中ナビゲーションを用いて安全性を高めています。
当院は、全国に36施設ある(2015年11月24日現在)、日本脊髄外科学会指定の脊髄外科医の訓練施設となっており、脊椎・脊髄疾患のすべてを治療の対象にしています。中でも、脊柱管狭窄症の治療例数は最も多く、最近5年間(2011-2015年)で372件です。この中で、Oアームを使用したスクリュー固定術は47件です。

当院で行っている臨床研究・実績など

当科での、この分野の代表的な臨床研究は次の通りです。

  1. Takai K, Matsumoto T, Yabusaki H, Yokosuka J, Hatanaka R, Taniguchi M. Surgical complications associated with spinal decompression surgery in a Japanese cohort. J Clin Neurosci. 2016. [Epub ahead of print]
  2. Ito H, Takai K, Taniguchi M. Cervical duraplasty with tenting sutures via laminoplasty for cervical flexion myelopathy in patients with Hirayama disease: successful decompression of a "tight dural canal in flexion" without spinal fusion. J Neurosurg Spine. 2014;21:743-52.

最終更新日:2016年3月29日

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