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脊髄腫瘍

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疾患概要

脊髄腫瘍
医学教科書から引用 The Netter Collection 2, 1984

脊髄腫瘍とは、背骨の中の神経にできる異常な塊のことを言います。塊の発生部位により、神経の膜から発生したものと、神経そのものの中から発生したものの2種類に分けられます(表3)。前者を 髄外腫瘍(ずいがいしゅよう) 、後者を 髄内腫瘍(ずいないしゅよう)と呼びます。髄外腫瘍で一番多いのは神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)で、髄内腫瘍で一番多いのは上衣腫(じょういしゅ)です。
原因は、遺伝子の突然変異が考えられています。まれに、家族性に発生することもあります。
脊髄腫瘍はまれな病気です。手術治療が必要な患者さんは、100,000人に1人くらいの割合で、日本全国で年間1,000件程度の手術が行われています。この分野の手術は、骨の深部で小さい神経を取り扱うため、整形外科ではほとんど行われておらず、脳神経外科が得意な分野です。

表3 脊髄腫瘍の種類
腫瘍タイプ 1 2 3
髄内腫瘍 神経鞘腫 髄膜腫  
髄外腫瘍 上衣腫 星細胞腫 血管芽腫

症状

脊髄腫瘍によって、神経が圧迫されると、手足や背中の痛みがでることが多いです(表4)。頚部の脊髄腫瘍では、肩や手の痛み、ぎこちなさ、しびれが出ることが多いです。背部の脊髄腫瘍では、背中の痛み、両足の筋力低下、しびれが出ることが多いです。腰部の脊髄腫瘍では、足の痛み、筋力低下、しびれが出ることが多いです。トイレの回数が増えたり、出にくくなったりする症状がでることもあります。これらの症状は、活動している時に出やすいですが、安静にしていても出ることがあります。症状は年の単位で徐々に悪化進行してきます。

表4 脊髄腫瘍の症状
部位 痛み 手の症状 足の症状 トイレの症状
頚部痛 ◎ぎこちなさ、しびれ ○ふらつく、転ぶ ○小便が出にくい
背中 背中の痛み ◎ふらつく、転ぶ ○小便が出にくい
足の痛み ◎歩くと足が痛い △まれ

治療法・対処法

全身麻酔を用いて痛みのない状態で、手術を行います。手術は9割以上後ろから行います。まれに前方から行うこともあります。正中の皮膚を切り、筋肉をこわさない様にしてはがしてよけます。背骨の一部を手術用ドリルで削り取り窓を開けて腫瘍に到達します。手術用の顕微鏡下に、腫瘍を神経からはがして切除します。
背骨の関節が不安定な時には、スクリューなどの体内ギブスを用いて背骨を固定することもあります。手術を安全に行うために、全例、手術用の顕微鏡を用いて手術を行っています。最新の手術室CTを使用することもあります。
髄内腫瘍の場合、術後に、薬物治療や放射線治療など、追加の治療が必要になることがあります。
8-9割の患者さんは手術後2週間くらいで体調が回復します。ごくまれに、術後に症状が悪化することもあります。手術前の神経の圧迫の程度や、腫瘍の種類によっても回復に個人差があります。術後の回復程度により、早期退院かリハビリを行っています。

患者さんへのワンポイントアドバイス

この病気により両足の筋力低下がおこると転びやすくなります。転んで頭を強く打ったり、尻もちをついたりすると、大怪我をして、神経が強く圧迫され病気が悪化することがあります。特に、自宅内では夜間にトイレに行くときには注意することが必要です。大雨や雪など天気が悪いときの外出は特に注意が必要です。

当科の専門医

谷口真(日本脊髄外科学会指導医39)、髙井敬介(日本脊髄外科学会指導医95)

疾患概要・病態

脊髄腫瘍とは、脊髄や神経根にできる腫瘍で、発生部位により、硬膜や神経鞘から発生したものと、脊髄そのものの中から発生したものの2種類に分けられます(表3)。前者を 髄外腫瘍、後者を 髄内腫瘍と呼びます(文献1, 2)。髄外腫瘍で一番多いのは神経鞘腫で、髄内腫瘍で一番多いのは上衣腫です。
原因は、遺伝子の突然変異が考えられています。まれに、家族性に発生することもあります。
脊髄腫瘍はまれな病気です。手術治療が必要な患者さんは、100000人に1人くらいの割合で、日本全国で年間1000件以上の手術が行われています。この分野の手術は、脊椎の深部で、小さい脊髄や神経根を取り扱うため、整形外科ではほとんど行われていません。脳神経外科が得意な分野ですが、脊椎手術と腫瘍手術の両方の技術を必要とするため、治療可能な施設が限られています。

表3 脊髄腫瘍の種類
腫瘍タイプ123
髄内腫瘍 神経鞘腫 髄膜腫  
髄外腫瘍 上衣腫 星細胞腫 血管芽腫

症状

脊髄腫瘍によって、脊髄や神経根が圧迫されると、四肢や背部の痛みがでることが多いです(表4)。頚部の脊髄腫瘍では、上肢の痛み、ぎこちなさ、しびれが出ることが多いです。胸部の脊髄腫瘍では、背部痛、下肢の筋力低下、しびれが出ることが多いです。腰部の脊髄腫瘍では、下肢痛、筋力低下、しびれが出ることが多いです。膀胱直腸障害が出現することがあります。これらの症状は、活動している時に出やすいですが、安静にしていても出ることがあります。症状は年の単位で徐々に悪化進行してきます。転倒により急激に悪化することがあります。

表4 脊髄腫瘍の症状
部位痛み上肢症状下肢症状膀胱直腸障害
頚部 頚部痛 ◎髄節症状 ○痙性対麻痺
胸部 背部痛 ◎痙性対麻痺
腰部 下肢痛 ◎間欠性跛行 △まれ

治療・最近の動向

脊髄腫瘍に対しては、椎弓形成術、椎弓切除術によって術野を展開して、手術顕微鏡下に腫瘍を切除します。脊髄内腫瘍では術中MEPモニタリングを用いて安全性を高めています。
当院は、全国に36施設ある(2015年11月24日現在)、日本脊髄外科学会指定の脊髄外科医の訓練施設となっており、脊椎・脊髄疾患のすべてを治療の対象にしています。中でも、脊髄腫瘍の治療例数は多く、最近5年間(2011-2015年)の脊髄腫瘍の手術件数は109件です。

当院で行っている臨床研究・実績など

当科での、この分野の代表的な臨床研究は次の通りです。

  1. Hatanaka R, Takai K, Iijima A, Taniguchi M. Intracranial dural arteriovenous fistula associated with a spinal tumor: a case report. Acta Neurochir (Wien). 2015;157:1825-7.
  2. Takai K, Taniguchi M, Takahashi H, Usui M, Saito N. Comparative analysis of spinal hemangioblastomas in sporadic disease and Von Hippel-Lindau syndrome. Neurol Med Chir (Tokyo). 2010;50:560-7.

最終更新日:2016年3月29日

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