診療科のご紹介


心療内科

診療科のご紹介

 摂食障害(いわゆる拒食症や心因性嘔吐症、うつ状態に伴う食欲低下など)
 転換性障害(検査で異常が無いのに痛みが持続する、歩けない、見え方がおかしい)、
 心身症(頭痛、腹痛、立ちくらみ、過呼吸)
 など、心の負担が身体症状に表現されているお子さんを診療しています。

 『身体の症状があるにもかかわらず、診察や検査により身体的な原因が特定できない』場合、自律神経や無意識を介した身体症状の可能性があります。症状が持続的で強く、身体的な治療を行ってもなお日常生活に支障がある場合はかかりつけ医とご相談ください。

 身体症状を理由に当科を受診する患者さんの6割は不登校傾向を合併しています。これらはいじめや学業不振、家庭不和などはっきりしたストレスが無くても、思春期の心理発達の過程で起こり得ます。すべての子どもが親からの独立と依存の間で揺れ動き、同世代の仲間関係の困難さを体験します。心と身体は自律神経や無意識を通じて相互に影響(心身相関)しあっており、思春期の心理発達課題をうまく乗り越えられない場合に発症します。このように心と身体にまたがった症状は小児科でも精神科でも対応が困難となります。

 当科では身体的な治療と並行して、精神分析的に症状を理解することにより子どもの心が成長・変化することで、結果的に症状がなくなることを目指しています。

 初診問診票のダウンロード ⇒ 初診時問診票(PDF)初診時問診票(WORD)
(初診の前に問診票をダウンロードして記入いただくか、初診当日にお渡しする用紙に記入していただきます)
 睡眠リズム表のダウンロード ⇒ 睡眠リズム表(PDF)
(不眠や昼夜逆転のあるお子さんの場合)

心身症などの初診と再診:

 初診の予約電話では医師が直接症状を伺って予約日を相談させていただきます。
 患者本人の診察と面接、保護者へのガイダンスを行うため、初診まではおよそ3〜5週間お待ちいただくことをご了承ください。初診までは紹介医での治療をお続けください。

 初診 火曜 午前 1ケースにつき1時間半
 再診 月曜 午後
金曜 午前
1ケースにつき30分

摂食障害の緊急初診と再診:

 摂食障害の場合、身体的な危険があるため可能な限り約1週間で緊急の初診を受け付けています。ご両親それぞれのお考えや関わりが重要になるため、ご両親で同伴してください。
(なお、ひとり親家庭の場合はその限りではありません)

 摂食障害
  初診
水曜 午前
木曜 午前
1ケースにつき3〜4時間
 摂食障害
  再診
水曜 午前
木曜 午前
1ケースにつき2時間程度

心理面接の再診:

上記の予約枠の他、1ケース50分の心理面接の予約枠があります。
担当医により曜日が異なりますが、水・木・金の午後となります。

心療内科の治療の方針:

 心と身体は自律神経や無意識を通じて相互に影響しあっているため、身体的な治療のみならず本人の心理的面接やご家族の関わり方の振り返りや環境調整など多方面からアプローチが必要となります。

 当科での心理的アプローチは精神分析的な考え方に基づいて症状を理解しようと努めています。精神分析では「人には自分でも気付いていない“無意識”が存在し、判断や行動決定に大きな影響力を持つ」と考えます。脳の中では“自分で意識できる気持ちや考え”の断片(未完成の試作品や部品)がたくさん生じています。つまり、“自分で気づいている考えや気持ち”(意識できる悩み)は氷山の一角であり、“本人が気づくことができない考えや気持ち”(無意識にある混沌とした生き辛さ)”が水面下に渦巻いています。 意識上と意識下(無意識)の境は自分では調整できないため、無意識にある生き辛さは自分では話すことも悩むこともできず身体症状に現されるのです。

 心療内科では症状や経過、お子さんの特性、お子さんを取り巻く環境、ご家族のお考えなどを詳しく伺います。その上で症状を除去することだけを目的とせず、症状に託された無意識からのメッセージを共に考えることで心の成長・変化が成され、結果的に症状が必要なくなることを目指しています。

主に取り扱っている疾患、治療内容

摂食障害

摂食障害の原因

 摂食障害の発症には遺伝的性質(性格、能力)、心理発達の停滞、家族関係、友人関係、社会情勢などが種々の割合で混在しており、ひとつの原因では説明できません。また、子どもの摂食障害では、約半数が意図的なダイエットをしていないのに発症しており、ダイエットが原因とは言えません。当科では摂食障害を本来の問題(心理的発達課題や主体性の確立、人との信頼感の獲得など)から自分自身も目をそらすためのすり替え症状だと考えています。本当の問題への取り組みには時間と困難を伴いますが、減量の達成感は容易に得られます。これに対して、家族や治療者が“食行動を是正させようとすること”(食べさせること)はダミー症状に巻き込まれて出口のない迷宮に迷い込むことになります。したがって、心療内科では体重増加を目的とせず、患者・家族が抱えているが気付いていない問題に取り組むお手伝い(定常体重療法)を行っています。

摂食障害の治療について

 身体疾患や精神疾患について国際的に評価が高い治療ガイドラインとして、イギリスの国立医療技術評価機構(NICE)のガイドラインがあります。その中にも神経性やせ症について決定打となる治療法は確立されていませんが、以下が推奨されています。

NICEのガイドラインの抜粋

『神経性やせ症の心理療法として考慮されるべきは、認知的分析的療法、認知行動療法、対人関係療法、焦点付力動的精神療法、摂食障害に明確に焦点を当てた家族介入などである』
『神経性やせ症患者のほとんどは身体的モニタリングを伴った心理療法を、その技術があり摂食障害の身体的リスクを評価できる医療者が提供することにより外来で治療されるべきである』
『神経性やせ症の患者において、外来での心理療法の経過中、明らかな悪化がみられたり、あるいは、外来での心理治療を適切な期間提供し完了したにも関わらず、大きな改善が見られない場合は「より集中的な次のレベルの治療」(入院治療など)を考慮するべきである』
『児童・思春期の摂食障害患者については、摂食障害について直接働きかける家族介入が提供されるべきである』

 当院の心療内科では心理療法の訓練を受けた小児科医が身体面の危険管理を行いつつ、同時に力動的精神療法(精神分析的な精神療法)の考え方に基づいて、本人の心理面接と親ガイダンスを行うことで家族ぐるみで成長・変化し、結果的に症状が不要となることを目指しています。


当科で行っている摂食障害の治療:定常体重療法

 定常体重療法は心理的な成長・変化に重点を置いています。これは一般的な治療である“体重増加を目的とした治療”(行動療法など)で改善しない患者さんや再発した患者さんに対する治療を通じてたどりついた治療法です。入院当初は食事の配膳を停止し、高カロリー輸液療法により体重をほぼ一定に保ち、生命の危機状態(脱水、肝障害など)から脱出します。体重を一定に保つことで、患者も家族も『食べる・食べない』というすり替えられた症状から離れ、潜在的に抱えている心理的問題に取り組めるように導きます。本人とご家族が成長・変化するために週1回の診察、面接、親ガイダンスが必要となります。初診後に詳しい治療内容をお聞きいただいた上で、どこで治療するかをお選びください。

痩せていく場合の入院基準:

 外来通院は原則として毎週必要ですが、以下の条件により入院治療も選択されます。

やせの重症度 体重と体重減少速度による入院基準
軽症 標準体重の75%以上だが、直近の8週間に8kgの体重減少
中等症 標準体重の65%以上75%未満、
かつ、直近の4週間に4kgの体重減少
重症 標準体重の55%以上65%未満の場合、早期の入院が必要
超重症 標準体重の55%未満の場合は緊急入院が必要
上記の体重以外に、肝機能や筋崩壊の程度、低血糖、意識障害、歩行困難、強い倦怠感などがあれば入院の適応となります
(小児心身医学会ガイドライン2015年版を一部改編)

性別、年齢別、身長別の標準体重:(2000年の学校保健統計調査に基づく村田の計算式)

ダウンロード  ⇒ 女子の年齢・身長別の標準体重
   ⇒ 男子の年齢・身長別の標準体重
摂食障害の病型分類

 摂食障害には神経性やせ症(神経性食思不振症、拒食症)以外に以下の疾患が含まれています。

1 神経性やせ症(制限型) 痩せる目的のために食べない
(いわゆる拒食症で小児期の半数を占める)
2 神経性やせ症
(むちゃ食い/排出型)
痩せる目的で嘔吐や下剤を乱用する
(制限型から始まって、数年後に移行する)
3 食物回避性情緒障害 痩せる目的はないが、食べたくない
(小児の摂食障害では半分でやせ願望はない)
4 うつに伴う食欲不振 食欲以外の意欲も低下し、抑うつ状態
5 機能性嚥下障害
(嘔吐恐怖症)
食事が喉に詰まる事を恐れて食べない
(嘔吐や窒息への不安、咽頭の違和感)
6 機能性嘔吐症 意図的ではなく、吐いてしまう
(胃食道逆流の体質と心理的なストレス)
7 選択的摂食 数品目の食品しか食べない高度の偏食
8 制限摂食 偏食はないが、量が非常に少ない
9 食物拒否 特定の状況や相手とは食べない
10 広汎性拒絶症候群 食べる、歩く、話すなど広汎な拒絶
11 神経性過食症 食欲が止まらず、食後に後悔し興奮する
(いわゆる過食症)
12 むちゃ食い障害 常にではなく、時に単発で過食する
13 異食症 砂や紙など食品以外の物を食べる
14 反芻性障害 胃から口内に吐き戻して、また飲み込む
摂食障害の精神病理のタイプ分類

 小児心身医学会の摂食障害に関する研究班では精神病理を8つに分けて考えています。それぞれのタイプで適切な治療方法や診療科が異なります。

  タイプ 特徴
1 強迫群 頑張り屋で周囲の評判も良い優等生にみられる
挫折体験は少ないがんばり病タイプ
2 自閉症スペクトラム群 幼児期からこだわりが強く、人付き合いが不得意で場の雰囲気が読みにくい
3 気分障害群 抑うつ気分や不安に伴い食欲が低下する
自分でも判らない何らかの行き詰まり感がある
4 恐怖症群 食物がのどに詰まる怖さ、窒息する怖さで食べにくい。一口を長い時間噛んで食べる
5 身体愁訴群 嘔気、腹痛、便秘などへのよき不安から摂食量を意図的に加減する
6 統合失調症群 食事に関するこだわりや妄想(毒、放射能など)があるために摂取量が少なくなる
7 演技性パーソナリティ群 過度な感情表出や、拒食のアピールにより周囲の注意を引こうとするが、痩せの度合いは軽度
8 境界型パーソナリティ群 対人関係や感情などが衝動的に不安定に変動
小児では診断に当てはまるケースはごく稀

心身症

 心身症とは心の負担が自律神経の調子を乱すことにより身体に症状がでる状態の総称です。心と身体は自律神経を介して互いに影響しあっています(心身相関)。通常の検査では異常がないにもかかわらず、症状のために生活に支障を来たしている場合は治療をお勧めします。診察(面接)の他に自律神経を調整する薬や心身をリラックスさせるための生活を共に考えていきます。

・起立性調節障害 頭痛、めまい・立ちくらみ、倦怠感(ほとんど毎日)
・片頭痛 頭の片側、または、両側の激しい痛み(月に5回以下)
・緊張型頭痛 肩や首、頭の周辺の筋肉が緊張することで起こる頭痛
・過敏性腸症候群 反復する腹痛、便秘または下痢
・慢性胃炎 吐き気・嘔吐、食欲不振、腹痛、少し食べただけでお腹が張る
・過換気症候群 呼吸が速くなり息が苦しくなる、手がしびれる
・心因性頻尿 膀胱炎ではないのに、何度もトイレに行く

 自律神経失調症と心身症の違いは「心身相関が有るか、無いか」とお考えください。

自律神経失調症
 自律神経の不調→身体症状
心身相関は乏しい
心身症
 心の疲れを無自覚、または、我慢しすぎる
   →自律神経の不調→身体症状
心身相関がある

身体症状のある不登校

 心身症や昼夜逆転が不登校傾向と同時に起こっている場合、集団生活での不安・緊張が自律神経や運動神経、知覚神経に影響していると考えます。自律神経を調整するお薬や生活習慣の工夫による休養、さらには、無意識にある心の疲れや心理発達の停滞を考えていくことなどがあります。

 また、発達障害を持つ不登校に対しては児童思春期精神科での治療が適切です。身体症状があっても不登校の主な原因ではない場合、児童精神科の受診をお勧めします。

転換性障害(変換症)と解離性障害

 診察や検査により身体疾患の可能性が極めて低いのに身体症状や意識障害があるもので、 ストレス状況がその人の対応能力を大きく上回った場合、無意識に運動神経や知覚神経に不調を来たします。発症状況や経過、家庭や学校の環境、本人の特性などから症状の意味を考えていくことが治療につながります。

 転換性障害 無意識に存在する負担
→運動神経・知覚神経
手足の痛みや麻痺・脱力、けいれん
視覚障害(見えない、小さく見える、歪んで見える
治療しても軽快しない腹痛や頭痛
 解離性障害 無意識に存在する負担
→意識障害、記憶障害
意識を失う、意識がもうろうとする
記憶がなくなる、別の人格がでてくる

診療実績

(対象期間:28年4月1日〜29年3月31日)

病名 実績
摂食障害 24例 (うち入院治療を行ったもの12例)
転換・解離性障害 22例 (うち入院治療を行ったもの4例)
起立性調節障害 22例
過敏性腸症候群 12例

スタッフ

氏名 役職 専門分野 主な資格等
深井 善光
(ふかい よしみつ)
医長
診療科責任者
小児心身医学
児童精神医学
精神分析学
日本小児科学会専門医
精神保健指定医
臨床心理士
日本小児心身医学会 理事・指導医
日本児童青年精神医学会 代議員
清水 圭祐
(しみず けいすけ)
医員 小児心身医学
精神分析学
日本小児科学会専門医
日本小児心身医学会会員
日本児童青年精神医学会会員
日本小児精神神経学会会員
日本思春期青年期精神医学会会員
北島 翼
(きたじま たすく)
非常勤 小児心身医学
精神分析学
日本小児科学会専門医
日本小児心身医学会会員

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