児童・思春期精神科
診療科のご紹介
子どもの発達障害、強迫性障害、統合失調症、うつ病を主に扱っています。
児童・思春期精神科は、広汎性発達障害やADHDなどの発達障害、強迫性障害や不登校を伴う心因性精神障害、統合失調症やうつ病などの精神障害などさまざまな障害をもつ幼児期から思春期までの小児を対象として診療を行っています。
医師、看護師をはじめとし、心理職、精神科ソーシャルワーカー、作業療法士、保育士などの専門職が治療に参加し治療の効果を高めています。
子どもの精神科治療の中心は外来診療ですが、興奮や衝動性の強い場合や抑うつ、自傷、こだわりが強く自分や周囲の生活に強い影響を及ぼしてしまう患者さんについてはやむを得ず入院治療を行う場合があります。
当科には性別、年齢別、症状別に7つの閉鎖病棟があり患者の病状に応じて入院治療を行っています。
病棟の内訳
| 病棟種別 | 病棟数 |
|---|---|
| 男女思春期急性期病棟(男子病棟+男女保護室2床) | 1 |
| 男子思春期病棟 | 1 |
| 女子思春期病棟 | 2 |
| 男女思春期病棟(自由外出の患者さんも入院可能) | 1 |
| 自閉症病棟 | 1 |
| 学童病棟 | 1 |
主治医による面接(カウンセリング)、薬物療法、集団精神療法、スポーツや創作などの病棟日課、院内での作業療法などの治療がメインです。治療の経過とともに家族との面会や外出、外泊なども行っていき、最終的には自宅や入院前に生活していた施設などへの復帰を目指しています。
病棟には医師、看護師に加え心理職、精神科ケースワーカーが配属され治療上必要と判断された患者さんについては院内学級(小学校、中学校)への通学を行いながら治療を行います。
平均入院期間は90日程度で、治療の目標となる症状をコントロールした後はできるだけすみやかに家庭等へ復帰することを目指しています。
こんな症状のお子さんが対象です
児童思春期のあらゆる精神疾患を対象とします。
- 発達障害圏の疾患:
広汎性発達障害(自閉症、アスペルガー障害、特定不能の広汎性発達障害)、ADHD(注意欠如多動性障害)など - 精神病圏の疾患:統合失調症、うつ病など
- 神経症圏や身体症状を有する疾患:適応障害、強迫性障害など
- 虐待関連:反応性愛着障害
主に取り扱っている疾患、治療内容
広汎性発達障害(自閉症、アスペルガー障害、特定不能の広汎性発達障害など)
広汎性発達障害とは
- 対人的コミュニケーションの不得手
- ことばによるコミュニケーションの不得手
- 固執・変化への抵抗(いわゆるこだわり)
の3つの特徴をそろえた障害です。
一定基準以上の症状が出そろったものを自閉症、ことばによるコミュニケーションの不得手さが目立たないものをアスペルガー障害、症状の数が診断基準の項目に達しなかったり、年長になってから症状が明らかになったものを、特定不能の広汎性発達障害といいます。
広汎性発達障害の治療方法
治療にあたっては本人の特性を理解した上での対応が必要となります。
ことばによる説明の理解が不得意な方が多く視覚的にわかりやすい説明の提示や場面の構造化(ここで何をやるかをはっきりすること)、他者の気持ちの理解が不得手であることを把握した上での対応が必要となります。
突然の興奮や強い自傷(あたまを壁に打ち付けたり、自分の手を噛んだり)、日常生活を送るのが困難なほどのこだわりがある場合には薬物療法を行うこともあります。
当科および子ども家族支援部門ではこのような子どもたちの診断、対応法のアドバイス、幼児・学童の療育、薬物療法、より行動上の問題が重度の方については入院治療を行っています。
ADHD
ADHDの主な症状
症例は小児期から多動、集中困難、衝動性を呈します。
このような子どもは落ち着いて座って授業を受けることができず、友達とのトラブルも多く叱られることも多くみられます。ADHDの一部の症例では『どうせできないんだから』と自己評価が低下し、二次的に抑うつ的になったりすることもみられます。
ADHDの一部には、多動や衝動性が昂じて他者へ攻撃行動が強まり行為障害を併発する場合もあります。
ADHDの原因
ADHDの原因の一つとして脳の前頭葉という場所でのドーパミンという神経伝達物質の活動の低下が考えられています。
ADHDの治療方法
ADHDの治療は家族、学校などへのアドバイスに加え、本人への
- 精神療法的アプローチ
(症状の理解と対応法を身につけること、できるところを見つけ評価していくこと) - 行動療法的アプローチ
(良い行動を評価し強化していく、悪い行動を減じていく)
が重要となります。
薬物療法により注意集中力の改善が見られ、多動や衝動性をコントロールできるケースもあります。現在日本では2種類のお薬がADHDの治療薬として認可されています。
当科および子ども家族支援部門ではADHDの診断、対応法のアドバイス、幼児学童の療育(SST:ソーシャルスキルズトレーニング・社会生活技能訓練や親プログラム)、症例によっては薬物療法、症状の重度の方には入院治療を行っています。
現在の診断基準では広汎性発達障害とADHDの両方の診断基準にあてはまる方は広汎性発達障害の診断を優先する約束ですが症例によっては広汎性発達障害に対する対応法とADHDに対する対応法の両者を並行して行う場合もあります。
統合失調症
児童思春期以降にみられる精神病性の障害です。
統合失調症の主な症状
| 陽性症状 | ・実際には存在しない声や音が聞こえる幻聴 ・あり得ないことを信じ込んでしまう妄想 ・頭の中が混乱して考えがまとまらなくなる思考障害など |
|---|---|
| 陰性症状 | 意欲の低下や閉じこもりがちとなる(自閉傾向とよばれます)など |
周囲から悪口を言われると訴えたり、学校へ行かず自宅へ閉じこもっている子どもの一部に統合失調症を発症していることがあります。
統合失調症の原因
はっきりしていませんが、何らかの素因がある方に心理的ストレスが加わって発症すると考えられています。
発症すると脳内の神経伝達物質の一つであるドーパミンという物質の過活動が起こり幻覚や妄想がみられると考えられています。陰性症状についてははっきりした脳内の部位や伝達物質の異常は解明されるにいたっていません。
統合失調症の治療方法
神経伝達物質の活動異常を修正するための薬物療法が必要です。近年多くの坑精神病薬が開発され、陽性症状に効果があるのはもとより、陰性症状もできるだけ改善し副作用も少ない薬物療法が工夫されています。
薬物療法と並行して精神療法、生活指導、リハビリテーションが行われます。急性期の症状が強い時期には入院加療を行うこともあります。
子ども家族支援部門ではこのような精神障害の方や高校生年齢以降の発達障害の方を対象とした思春期デイケアも行っています。
医療機関の先生方へ
緊急受診当番医(ホットライン当番医)のお知らせ
児童思春期精神科では子どもの精神科へ入院が必要な、こころや行動の問題を有する18歳未満の患者の緊急受診をお引き受けしています。
(代表 : 042-300-5111)
| 平日の日中に緊急を要する場合 | お手数ですが、主治医の先生から平日日中児童・思春期精神科ホットライン当番へお電話ください。ケースワーカー又は医師が対応します。 |
|---|---|
| 夜間休日に直接入院が必要な場合 | お手数ですが、主治医の先生から当直医へお電話ください。 |
| 緊急を要しない受診 | ご家族から電話での初診予約をお願いします。 ご家族へ紹介状をお渡しください。 |
| 3歳以下の発達相談 | 総合診療部の初診予約をお願いします。 |
| “やせ”が高度な摂食障害 (15歳以下) | 心療小児科の医師に電話をお願いします。 |
診療実績
| 22年度 20歳未満外来新患主診断 1300名 | 第1位 特定不能の広汎性発達障害 (247名) 第2位 自閉症 (184名) 第3位 アスペルガー障害 (177名) 第4位 適応障害 (159名) 第5位 ADHD (114名) 第6位 統合失調症 (73名) 第7位 精神遅滞 (49名) 第8位 反応性愛着障害 (47名) 第9位 うつ病 (41名) 第10位 強迫性障害 (29名) |
|---|---|
| 22年度入院患者主診断 (年度内退院者+年度末入院者 542名) | 第1位 自閉症 (106人) 第2位 統合失調症 (90人) 第3位 アスペルガー障害 (71人) 第4位 特定不能の広汎性発達障害 (67人) 第5位 適応障害 (43人) 第6位 摂食障害 (26人) 第7位 ADHD (20人) 第7位 反応性愛着障害 (20人) |
スタッフ
| 氏名 | 役職 | 専門分野 | 主な資格等 |
|---|---|---|---|
| 田中 哲 (たなか さとし) |
副院長 |
児童思春期精神医学、虐待の臨床 | 精神保健指定医、精神科専門医 |
| 山田 佐登留 (やまだ さとる) |
部長 診療科責任者 |
児童思春期精神医学、発達障害の臨床、精神薬理学 | 精神保健指定医、精神科専門医、日本児童青年精神医学会学会認定医、精神科専門医制度指導医 |
| 近藤 直司 (こんどう なおじ) |
部長 |
児童思春期精神医学、力動精神医学 | 精神保健指定医、精神科専門医 |
| 大倉 勇史 (おおくら たけし) |
医長 |
児童思春期精神医学、精神生理学 | 精神保健指定医、精神科専門医、精神科専門医制度指導医 |
| 島袋 高子 (しまぶく たかこ) |
医長 |
児童思春期精神医学 | 精神保健指定医、小児科専門医 |
| 森野 百合子 (もりの ゆりこ) |
医長 |
児童思春期精神医学、家族療法 | 精神科専門医、英国精神療法協会認定家族療法士、英国児童思春期精神科専門医 、英国精神科専門医、精神保健指定医 |
| 菊地 祐子 (きくち ゆうこ) |
医長 子ども家族支援部門 心理・福祉科兼務 |
児童思春期精神医学 | 精神保健指定医、精神科専門医 |
| 島内 智子 (しまのうち ともこ) |
医長 |
児童思春期精神医学 | 精神保健指定医、精神科専門医 |
| 遠藤 季哉 (えんどう としや) |
医員 |
児童思春期精神医学、強迫性障害(OCD)の臨床、思春期の行為障害 | |
| 中山 淑子 (なかやま よしこ) |
医員 |
児童思春期精神医学 | 精神保健指定医 |
| 宮崎 健佑 (みやざき けんすけ) |
医員 |
児童思春期精神医学 | 精神保健指定医、精神科専門医 |
| 冨永 卓男 (とみなが たくお) |
医員 |
児童思春期精神医学 | 精神保健指定医 |
| 川上 俊亮 (かわかみ しゅんすけ) |
医員 |
児童思春期精神医学 | 精神保健指定医、日本小児科学会専門医 |











