診療科のご紹介


脳神経外科

診療科のご紹介

小児の脳・脊髄疾患の外科治療を担当する診療科です。

治療対象となる疾患は、 脳・脊髄腫瘍二分脊椎キアリ奇形水頭症頭蓋内嚢胞頭蓋骨縫合早期癒合症もやもや病脳動静脈奇形頭部外傷脳性麻痺による痙縮などであり、15歳以下のすべての脳神経外科疾患を担当しています。

小児脳神経外科疾患の治療は、複数の診療科の協力を必要とすることが少なくありません。 当センターでは、総合診療科、集中治療科、新生児科、神経内科、血液・腫瘍科、内分泌・代謝科、泌尿器科、形成外科、消化器科、感染症科、リハビリテーション科、麻酔科など小児専門の関係診療科が全て整っており、 疾患に応じたチーム医療体制を整えています。

2015年の手術手技総数は209件でした。

主に取り扱っている疾患、治療内容

小児脳腫瘍

当センターは小児がん拠点の一つであり、小児脳腫瘍の治療を多く手がけています。 小児脳腫瘍には、髄芽腫上衣腫星細胞腫脳幹部グリオーマ胚細胞腫瘍頭蓋咽頭腫PNETAT/RTなど様々な組織型の腫瘍が含まれています。それぞれ治療方針や予後も大きく異なることから、疾患やその時の年齢、病状に応じた治療戦略が必要になります。
手術では、開頭手術だけでなく内視鏡手術定位的手術など疾患・病態に最適の方法を選択しています。 また、術中神経生理学的手技やナビゲーションシステムを積極的に取り入れ手術の安全性向上に努めています。内科的治療は、血液・腫瘍科や内分泌・代謝科とのチームで治療に当たります。 放射線治療に関しては、隣接する多摩総合医療センターと連携して治療を行っています。心理的サポートや教育支援は、子ども・家族支援部門の精神科医や臨床心理士、ソーシャルワーカーが担当します。退院後に子ども達がスムーズにもとの生活に戻れるようサポートします。

 →小児がん拠点病院のページはこちら

二分脊椎(脊髄髄膜瘤、脊髄脂肪腫など)

小児専門の脊髄外科学会認定医が治療を担当します。
脊髄髄膜瘤は新生児科と連携して治療にあたっています。出生前診断された場合は、多摩総合医療センターで予定分娩となります。 神経が皮膚表面に露出した状態で出生しますので、感染予防、二次的神経障害予防のために生後48時間以内に修復術を行っています。水頭症キアリ奇形II型を伴う場合には、その治療も並行して行います。
脊髄脂肪腫は、おしりのこぶや凹み、色素沈着、異常毛髪などの外見の異常が多くの場合、診断の契機になります。症状がでている場合、あるいは症状が出ていなくても脊髄空洞症を伴っている場合などに手術を行い、脊髄係留を解除します。 球海綿体反射モニターや誘発筋電図などの高度な術中神経生理学的手技を全例に行っており手術の安全性向上に努めています。
一般の診察ではわかりにくい排泄機能に関しては、軽微な症状変化も見逃さないように、泌尿器科や消化器科と連携体制を整えています。

キアリ奇形、脊髄空洞症

小児専門の脊髄外科学会認定医が治療を担当します。
キアリ奇形とは、本来頭蓋骨の中にあるべき小脳の一部がくび(頸椎)のほうにはみ出た状態のことです。歩行障害、排尿障害、頭痛、側弯、無呼吸などの症状があるとき、脊髄空洞症を伴っているときには手術が必要です。大後頭孔を中心に圧迫部位の充分な減圧を行います。脊髄髄膜瘤に伴うキアリ奇形II型では緊急を要することもあります。
脊髄空洞症はその原因となっているキアリ奇形脊髄係留の治療を優先して行います。その手術を行っても脊髄空洞症が改善しない場合には空洞くも膜下腔シャント術を追加します。 過去に水頭症の治療歴がある場合には、その治療効果が低下している可能性もあります。

水頭症

水頭症とは、頭の中に脳脊髄液が過剰に貯留した結果、頭蓋内圧が亢進する疾患です。
乳幼児の場合、大泉門の膨隆や、頭囲拡大で発見されることが多いのですが、 年長児では、頭痛嘔吐けいれんなどの症状が多く、 年齢によって症状が異なります。最近では超音波やMRIで出生前診断されるケースも増えてきています。
水頭症の治療法は、原則として手術しかありません。手術方法には、シャント手術内視鏡手術があります。 シャント手術では、カテーテルを体内に埋め込み、脳脊髄液を自分の体の他の部分に流して、代わりに吸収できるようにするものです。これはすべてのタイプの水頭症に有効です。 内視鏡手術は、髄液の通過障害が原因で、吸収能が保たれているような場合に有効です。
当科では、シャント手術にも内視鏡手術にも多くの経験を有しており、適切な術式を選択しています。

くも膜嚢胞

くも膜嚢胞とは、脳脊髄液がくも膜という脳を覆う薄い膜の間に貯留して袋状になったものです。 くも膜嚢胞が原因と考えられる頭痛や麻痺などの症状がある場合、脳や隣接する頭蓋骨への圧迫が高度の場合、くも膜嚢胞が徐々に大きくなってきている場合などでは、手術の対象となります。
手術の方法には、嚢胞の膜に切開を入れて正常な髄液腔と交通をつける嚢胞開窓術と、 水頭症と同じようにチューブを埋め込んで離れた他の部位に交通をつけるシャント手術の2つがあります。 適した治療法は年齢や病態に応じて異なりますが、嚢胞開窓術を第一選択としています。

頭蓋骨縫合早期癒合症

頭蓋骨は、複数の骨が組み合わさって構成されていますが、乳幼児期には頭蓋が成長するためにこれらの骨がまだ完全には癒合していません。頭蓋骨縫合早期癒合症とは、 何らかの原因で、骨の接合部である頭蓋骨縫合が早期癒合を起こしてしまい、骨の成長に影響が出る疾患です。癒合する縫合によって、 三角頭蓋舟状頭蓋短頭蓋斜頭蓋尖頭蓋塔状頭蓋クローバーリーフ頭蓋などの特徴的な頭蓋形態を生じます。この疾患の問題点は、頭蓋変形を来すことと頭蓋容積が不足してしまうことです。 そのため形成外科と脳神経外科が協力して、頭蓋形態改善と頭蓋容積拡大を両立させる治療を行います。
年齢や早期癒合部位から、従来式の頭蓋拡大形成術と近年広まってきた骨延長法とを使い分けるようにしています。

脳動静脈奇形

脳動静脈奇形は、ナイダスと呼ばれる異常血管を介して、動脈と静脈が直接交通している疾患です。 小児では多くの場合、脳内血腫を起こして発症します。けいれん発作意識障害片麻痺などの症状を呈することもあります。年間出血率は約3%で、小児では5人に1人が致死的出血になるとされています。
外科的にナイダスを摘出する開頭手術、ガンマナイフなどの定位放射線治療、カテーテルを用いた血管内治療などがあります。またそれらを組み合わせて治療することもあります。
虎の門病院脳神経血管内治療科の協力により、脳血管内治療、開頭手術を組み合わせた治療が当院でも行えるようになりました。

海綿状血管腫

海綿状血管腫は、異常血管の集合体で脳のあらゆるところに発生する可能性があります。無症状に経過することも多いのですが、軽症の出血を繰り返し、 頭痛けいれん発作で発見されることもあります。
年間出血率は2-3%ですが、一度出血を起こした海綿状血管腫は、再出血のリスクが高くなります。出血を繰り返す場合や、神経症状を伴っている場合には、手術治療の対象となります。 特にてんかんを合併している場合には、血管腫だけでなく、その周囲の変色し硬くなった脳実質も摘出した方が、術後のてんかんコントロールが良好とされています。
年齢、血管腫の部位、症状などを考慮して、手術の適応、タイミングを考慮します。

もやもや病

もやもや病は、脳に血液を供給する重要な血管が狭窄したり閉塞したりする原因不明の疾患です。小児の場合、多くが脳虚血発作(意識障害、脱力、感覚異常、けいれん、頭痛など)で発見されます。 この脳虚血発作は、過呼吸(啼泣、吹奏楽器の演奏など)で誘発されます。脳血管撮影で、脳内にもやもや血管とよばれる異常な血管網が確認されることで診断されます。
治療は、脳虚血の状態を改善するため、頭蓋外の血流を頭蓋内に誘導する血行再建術を行います。血行再建術にも、直接血行再建術間接血行再建術があります。 直接術とは、頭皮の血管と脳表面の血管を直接吻合して血流を増やす術式です。 間接術とは、頭皮の血管を含む組織を脳表面に接着させ、脳へ血流を供給する新生血管を誘導させる術式です。それに追加して、筋肉や帽状腱膜、骨膜などを脳表に接着させることもあります。
年齢、症状の頻度、脳梗塞の有無、虚血の範囲などを考慮して、適切な治療法を選択します。

脳性麻痺

小児に対するITB療法、機能的脊髄後根切断術とも国内随一の手術経験を有しております。
脳性麻痺そのものは外科治療の対象ではありませんが、痙縮とよばれる四肢や体幹の筋緊張が異常亢進した状態を既存の内科的治療やリハビリテーションでコントロールできない場合に外科治療の対象となります。 脳神経外科では、髄腔内バクロフェン(ITB)療法機能的脊髄後根切断術の2つの術式がありますが、痙縮の拡がりや年齢、治療のゴール設定などを総合的に検討して術式を選択します。

医療機関の先生方へ

すべての小児脳脊髄疾患の外科治療に対応可能です。
当科は紹介・予約制となっておりますので、緊急性のある病態・疾患に関しての診察・治療に関しては、連携担当医・井原までご連絡いただければ緊急の予約を取り、速やかに診察受付できるようにいたします。

診療実績

2014年 2015年 2016年
合計
150 209 200
  腫瘍 28 25 20
   脳腫瘍摘出術 21 11 9
脳腫瘍生検術 4 5 5
脊髄腫瘍摘出術 1 3 2
頭蓋骨腫瘍摘出術 1 6 4
その他 1 0 0
血管障害 4 21 13
   脳血行再建術 1 13 3
脳動脈瘤直達術 0 0 2
脳動静脈奇形摘出術 0 3 1
開頭血腫除去術 1 0 0
内視鏡的血腫除去術 1 2 3
血管内手術 1 3 4
外傷 13 8 15
  開頭血腫除去術 4 3 6
穿頭血腫ドレナージ術 1 1 1
頭蓋形成術 5 2 6
頭蓋内圧モニター設置術 1 2 2
その他 2 0 0
水頭症/頭蓋内嚢胞 49 59 47
シャント手術 23 24 14
髄液リザーバ設置術 2 2 1
脳室ドレナージ術 10 11 13
脳室穿破術(神経内視鏡) 10 19 15
開頭嚢胞開窓術 3 2 0
シャント抜去術 1 1 4
頭蓋骨縫合早期癒合症 7 27 29
  頭蓋拡大形成術 6 18 23
骨延長器抜去術 1 9 6
神経管閉鎖不全症 36 51 43
   脊髄係留解除術 25 41 41
脊髄髄膜瘤修復術 4 1 0
二分頭蓋修復術 3 6 2
その他 4 3 0
機能的手術 3 13 7
  バクロフェン髄注ポンプ設置術 2 2 1
機能的脊髄後根切断術 1 8 6
硬膜下電極設置術 0 1 0
焦点切除術 0 1 0
迷走神経刺激術 0 0 0
その他 0 1 0
脊髄・脊椎 10 5 24
  大後頭孔減圧術 3 0 8
  空洞くも膜下腔シャント術 1 1 3
  頭蓋頸椎後方固定術 3 3 3
  その他 3 1 9
その他 0 0 2
   脳膿瘍/硬膜下膿瘍 0 0 2

スタッフ

 
氏名 役職 専門分野 主な資格等
井原 哲
(いはら さとし)
医長
診療科責任者
小児脳腫瘍
脊髄脂肪腫
脊髄髄膜瘤
キアリ奇形
水頭症
くも膜嚢胞
頭蓋骨縫合早期癒合症
脳動静脈奇形
もやもや病
痙縮の外科治療
脳神経外科専門医
小児神経外科認定医
脊髄外科認定医
神経内視鏡技術認定医
師田 信人
(もろた のぶひと)
医長 痙縮の外科治療
頭蓋頸椎移行部疾患
キアリ奇形
二分脊椎
脳脊髄腫瘍
水頭症
神経内視鏡手術
脳神経外科専門医
小児神経外科認定医
脊髄外科指導医・認定医
神経内視鏡技術認定医
てんかん専門医
山本 綾
(やまもと あや)
医員 小児脳神経外科
脳血管障害
脳神経外科専門医
脳卒中専門医
頭痛専門医
津田 恭治
(つだ きょうじ)
サブスペシャリ
ティレジデント
小児脳神経外科
脳血管障害
神経内視鏡手術
脳神経外科専門医
神経内視鏡技術認定医
脳卒中専門医
太田 貴裕
(おおた たかひろ)
多摩総合医療
センター医長
脳血管障害
脳血管内治療
脳神経外科専門医
脳血管内治療指導医・専門医
脳卒中外科技術指導医
脳卒中専門医
神経内視鏡技術認定医
谷口 真
(たにぐち まこと)
神経病院部長 脊髄末梢神経外科
機能外科
定位脳手術
顔面痙攣
脳神経外科専門医
脊髄外科指導医・認定医
定位機能的脳外科技術認定医
松尾 健
(まつお たけし)
神経病院医長 成人てんかんの外科治療
小児てんかんの外科治療
顔面けいれん・三神経痛
聴神経腫瘍・髄膜腫
日本脳神経外科学会専門医・指導医
日本てんかん学会専門医
神経病院医師の小児総合医療センターでの診療は外来のみです。

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