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松沢病院における
精神科薬の後発医薬品導入と推進状況について

後発医薬品(ジェネリック医薬品)は、先発品と効果面ではほぼ同等ながら、研究開発に要する費用は先発品より低く抑えられているため、薬価が安くなっています。後発医薬品は患者負担の軽減や医療保険財政の改善に寄与するものとして、現在国を挙げてその普及を推進している所です。
しかし、精神科薬に関しては後発化が進みにくい傾向があると言われます。その理由として、我が国の精神医療独自の医療保険システムがコストの負担を感じにくい点1)や、精神科受診患者が変化を好まない点2)などが報告されていますが、より大きな要因は非定型抗精神病薬やSSRI等の新薬には後発医薬品の品数自体が少ない時代があった為ではないかと思われます3)。厚生労働省が発表した調剤医療費の動向では2014年4~9月の薬剤料から後発医薬品の割合を薬効別に見ると、内服薬全体では13.8%なのに対し、精神神経用剤は7.1%に止まっています。比較的早くから後発化が進んだ催眠鎮静剤・抗不安剤は20%と高めですが、それでも消化器官用薬や呼吸器官用薬の28%には及びません。
リスパダール®の後発医薬品が登場したのは10年前の2007年、SSRIであるルボックス®の後発医薬品登場は2010年、ルーラン®の後発医薬品は2011年、待望のセロクエル®とパキシル®の後発医薬品は2012年で僅か5年前です。そして一昨年2015年末にジェイゾロフト®、昨年2016年にはジプレキサ®と言う具合に、大物薬剤の後発化が進み、後発医薬品の導入推進のための条件が整ってきました。
後発医薬品導入を後退させない為に必要なのは、後発医薬品が患者さんの期待を裏切らないこと。その為に、後発医薬品選定に際しては品質面を重視しています。評判の良い後発医薬品で当院採用規格が無い場合は、メーカーに交渉して該当規格の開発も要望しています。後発医薬品と言えども新規規格の厚労省への申請・承認には数年を要しますが、良い品質の後発医薬品を導入する為には、その間は待たねばなりません。そして今、数年前からの取組みが実を結ぶ時期となりました。
それにより、今年度の当院における後発医薬品シェアは、これまでと比べても非常に大きな伸びを見せています。
 
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【参考】
1)日下郎,川村諭,中山和彦:抗精神病薬/抗うつ薬におけるジェネリック医薬品の現状と今後の展望.臨床精神薬理,Vol.18,No.7 Jul.899-905,20151)
2)長郷千香子,勝俣はるみ,中村佳弘,怱滑谷和孝:わが国の精神科医療における精神神経系ジェネリック医薬品の使用状況と問題点 今後の課題.臨床精神薬理,Vol.18,No.7 Jul.879-888,2015
3)竹内尚子:薬局からみた精神科ジェネリック医薬品の使用実態と課題.臨床精神薬理,Vol.18,No.7 Jul.889-897,2015