こころの病気のミニ事典

睡眠障害

健康のために睡眠はたいへん重要です。睡眠は、心身の疲労回復をもたらすとともに、記憶を定着させる、免疫機能を強化するといった役割ももっています。健やかな睡眠を保つことは、活力ある日常生活につながります。
睡眠障害というと不眠症を考えがちですが、不眠症以外にも様々な病気があり、多くの人々が睡眠の問題を抱えていることがわかってきました。夜の睡眠が障害されると、眠気やだるさ、集中力低下など日中にも症状が出現します。睡眠の問題と日中の問題は、表と裏の関係にあるといってもいいでしょう。このような、睡眠の問題や日中の眠気の問題が1カ月以上続くときは、何らかの睡眠障害にかかっている可能性が考えられます。睡眠障害は、その原因によって治療法も異なります。適切な治療を受けるためにも、自分の睡眠状態や睡眠の問題を把握しておくことは重要です。

睡眠障害の症状

睡眠障害のサインや症状は大きく分けて、1)不眠、2)日中の過剰な眠気、3)睡眠中に起こる異常行動や異常知覚・異常運動、4)睡眠・覚醒リズムの問題、の4つにまとめられます。また、いびきや寝ぼけなど、周囲の人から指摘される症状もあります。
サインや症状を、自分で困っているものと人から指摘されるものの両面から把握し、疑われる疾患について専門医にきちんと判断してもらいましょう。

自覚できる症状

 

    • 不眠(寝つきの悪さ、途中で起きてしまい再入眠できない、朝早く起きてしまう、熟睡できない)
    • → 精神疾患や身体疾患、服用薬、下記の睡眠障害をチェック

        そのうえで不眠症かどうか判断

    • 過眠(日中眠くてしかたない、居眠りをして注意をされる)
    • → 睡眠不足や睡眠の質が低下する病気がないか、チェック

        もし、夜十分眠っているのに日中眠い場合は、過眠症を調べる

    • 就寝時の異常感覚(脚がむずむずしたり火照ったり、脚をじっとさせていられないためによく眠れない、夕方以降に悪化)
    • → むずむず脚症候群を調べる

    • 睡眠・覚醒リズムの問題(適切な時刻に入眠できず、希望する時刻に起床することができない)
    • → 睡眠日誌で睡眠・覚醒リズムをチェック

      概日リズム睡眠障害を調べる

周囲の人が気づける睡眠障害のサイン

 

    • いびき・無呼吸(いびき、眠っているときに息が止まる、突然息が詰まったようにいびきが途切れる)
    • → 体重、飲酒、服用薬をチェック

        睡眠時無呼吸症候群を調べる

    • 睡眠中の異常行動(寝ぼけ行動、寝言、睡眠中の大声・叫び声)
    • → 夢との関連性、起こして覚醒するかどうか、チェック

        睡眠時随伴症を調べる

    • 睡眠中の異常運動(寝入りばなや夜間に、脚がピクピクと動いている)
    • → 就床時の異常感覚についてチェック

      周期性四肢運動障害を調べる

睡眠衛生についても確認しましょう

症状の把握とともに、睡眠衛生についてもチェックしましょう。よくない睡眠環境や誤った睡眠習慣が、睡眠を妨げているかもしれません。

  • 寝室環境(騒音、日当たり、寝るときの明るさ、テレビやラジオ)
  • 睡眠習慣(床に入る時刻、床から出る時刻、実際に眠りに入る時刻、実際に起きる時刻、寝るときに習慣的にすること、昼寝)
  • 嗜好品(飲酒、喫煙、コーヒーなどのカフェイン類)

これはあくまでも目安です。

おかしいかな?あてはまるかな?と思ったらまずは専門家に相談しましょう。専門家のいるところは総合病院の精神科や心療内科、もしくは精神科専門のクリニックなどですが、どこに行けばいいかわからない時は自分のことをよく知っているかかりつけの医師に相談したり、地元の保健所や精神保健福祉センターの相談窓口を利用するなどしましょう。

睡眠障害についての知識

睡眠障害とは様々な病気の総称

睡眠障害とは、睡眠に何らかの問題がある状態をいいます。眠れなくなることはよくみられますが、眠れないことイコール不眠症ではありません。不眠の原因には、環境や生活習慣によるもの、精神的・身体的な病気から来るもの、薬によって引き起こされるものなど、様々です。
さらに、睡眠障害には不眠だけでなく、昼間眠くてしかたないという状態や、睡眠中に起きてくる病的な運動や行動、睡眠のリズムが乱れて戻せない状態など、多くの病気が含まれます。また、睡眠の問題は1つの原因や病気だけでなく、いくつかの要因が重なって起こってくることも多くみられます。
睡眠の何が問題なのか、その原因は何か、主観的症状と客観的情報を多面的に検討・整理することが、適切な診断と治療につながります。

睡眠障害は国民病?

日本では、一般成人のうち約21%が不眠に悩んでおり、約15%が日中の眠気を自覚しているとの調査結果があります。こうしてみると、成人の5人に1人、つまり1500万~2000万人の人が不眠に悩んでいると推計されます。背景には、人口の高齢化、ライフスタイルの多様化、24時間社会における生活リズムの乱れ、ストレスなどがあるのかもしれません。

睡眠障害の何が問題なのか?

睡眠障害があると、何が問題になってくるのでしょうか?ひとつには、睡眠障害によって、日常生活や社会生活に支障が出てくることがあります。睡眠障害によって日中の眠気やだるさ、集中力低下などが引き起こされると、日々の生活に支障をきたし、極端な場合には事故につながることもあります。
また、睡眠不足や睡眠障害が長期間持続すると、生活習慣病やうつ病などになりやすくなることがあります。こうしたことから、睡眠障害に適切に対処することが重要と考えられています。